木造で倉庫を建てるときに注意すべき建築基準法上のポイントとは?

木造で倉庫を建てるときに注意すべき建築基準法上のポイントとは?
近年、建設コストの高騰や環境配慮の観点から、「倉庫=鉄骨」ではなく、「木造で倉庫を建てたい」というニーズが増えてきています。
木造であれば工期も短く、コストも抑えやすく、補助金対象にもなりやすいため、事業者からの関心も高まっています。
しかし、木造の倉庫を建てるにはいくつかの建築基準法上の注意点があり、鉄骨造やRC造と比べて法的な制限が異なるケースもあります。この記事では、木造倉庫の建築を検討する際に知っておきたい建築基準法のポイントを解説します。
🔍1. 建築用途と「用途地域」の制限
まず、倉庫を建てたい土地がどの用途地域にあるかを確認する必要があります。
例えば、第一種低層住居専用地域では原則として倉庫の建設は認められません。木造かどうかに関係なく、「用途の制限」でNGとなるケースです。
一方で、「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」などであれば倉庫建築は認められやすく、比較的自由度が高いエリアとなります。
🔥2. 木造特有の「防火制限」に注意
木造で建てる場合、防火・準防火地域内に該当する土地では防火構造または耐火建築物が求められるケースがあります。
この場合、木造で建てるためには以下のような制約を考慮する必要があります。
- 一定規模以上(例:延床面積500㎡超)の場合、耐火建築物としなければならない
- 延焼ライン(隣地境界・道路中心線)に面する外壁の開口部は、防火設備(シャッターや防火窓)を要する
- 平屋で建てる場合は条件をクリアしやすいが、2階建ては制限が厳しくなる
つまり、地域と規模によっては、木造では建てられない or コストがかかるというリスクもあるため、事前調査が非常に重要です。
📐3. 建築面積・容積率・建ぺい率の確認
倉庫は住宅と違い、延床面積が広くなりがちです。
そのため、以下の建築条件がネックになるケースがあります。
- 建ぺい率(敷地面積に対して建てられる面積の割合)
- 容積率(建物全体の延床面積と敷地面積の割合)
例えば、工業地域であれば建ぺい率60%・容積率200%程度が一般的で、広い倉庫にも対応しやすいです。一方、住居系地域では容積率制限が厳しく、計画段階で修正が必要になることもあります。
また、庇(ひさし)や荷捌きスペースの扱いも含めて、確認申請時にしっかり申告することが大切です。
🏗️4. 構造計算・工作物確認の必要性
木造でも、以下の条件に当てはまると構造計算が必要になります:
- 延床面積が500㎡を超える
- 高さが13mを超える、または軒の高さが9mを超える
- 用途が不特定多数の利用を想定する特殊建築物(例:集会所)に近い形態
また、建物とは別に屋根付き荷捌き場・看板・塀・擁壁なども、場合によっては「工作物申請」が必要になることがあります。
✅まとめ|「木造で建てられるか」は法的チェックが最優先
木造倉庫は、コストメリットや施工のスピード感から非常に魅力的な選択肢ですが、
法令上の制限をクリアできなければ、そもそも建てられないケースもあるのが実情です。
まずは「この土地で木造倉庫が建てられるかどうか?」という観点で、
- 用途地域
- 延床面積・高さ
- 防火地域の有無
- 建ぺい率・容積率
といった要素を建築士・設計担当と一緒に確認することが不可欠です。
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